不倫相手とデートを楽しんだ後にホテルへ

12月、私は車を購入した。

今までの転勤では車を所有しなくても良い地域だったが、広島では何かと車で移動する方が便利が良いようだ。

かと言って、ペーパードライバーではない。
社用車はいつも運転しているし、実家に帰省した際には親の車を運転している。

メーカーや車種にはずいぶん悩んだ。

(京子との逢瀬にあまり目立たない車が良い)

との思いから、お膝元メーカー社製ハッチバックにした。

→【9歳年上のセフレの思い出 第九話】記事も読んでください。

人妻セフレの京子と広島の街をドライブデート

初めてのドライブの日がやってきた。

ハッチバック車

 

午前9時、待ち合わせ場所に指定された郊外のショッピングセンターの駐車場に着いた。

外れの目立たない場所に、彼女の車が駐車してあるのが見える。
その車の運転席側右斜め後方へと寄せた。

大きめのサングラスをかけた彼女が、バックミラー越しに私が到着したのを確認しているのがわかった。

周囲の目を伺いながら、彼女が助手席へと乗り込んできた。
すぐさま車を発進させ、ショッピングセンターをあとにする…

海沿いの道路を走らせていると、彼女が私の手を繋いできた。

冬の海が穏やかな陽光を照り返し、二人だけの特別な空間である車内をキラキラと照らしてくれる。

何度か逢瀬を重ね、お互いの体をよく理解している二人だ。
ドライブの最中、特段会話が無くても問題ない。

むしろ、ごく普通のカップルより私たちは、お互いに理解し合えているのではないだろうか。

不倫カップルならではの楽しみ

恋愛関係にある男女は、お互いにその関係が終焉することを心のどこかで恐れている。

言動に配慮をし、時として自身の意見を心の奥にしまい込むことがある。

セックスをする際に、本来の自分の姿を隠してしまう。
本当の快楽のために、肉体や精神をさらけ出すことに臆病になってしまう。

恋愛関係ではなく、セックスを楽しむ男女は純粋に本当の快楽を求め、肉体も精神もさらけ出すことができる。

また、相手がどんな快楽を求めているかを模索し、それを隠すことなく相手に尋ねる。

お互いがさらなる快楽、経験したことがない未知なる快楽へと昇華できるよう、欲望を惜しみなく出しあう。

このような関係だからこそ、特段の会話は必要ないのだと思う。

指先が触れ合うだけで分かり合える。
それが、今の私と京子の関係なのだろう…

車内で手を繋いでいるだけで、彼女がウキウキとしているのが伝わってくる。

初めてセフレとデートらしいデートを楽しむ

いつもは会ってすぐにラブホテル直行だが、今日はデートらしいデート。
ウキウキする気持ちもわからなくはない。

人目をはばかりながら待ち合わせして、密かにラブホテルに入る。
情熱的なセックスを何度か重ね、そっけなく別れる…

いくら、割り切った大人の関係とはいえ…
いくら、世間では不適切と言われる関係とはいえ…

女性としては不本意だろう。

たまには、普通の男女としてデートをするべきだと思う。
たまには、ただのカップルとしてそれをしない日があっても良いとは思う。

ただセックスには計り知れない魔力のようなものがある。

あまたの男女が異性と交わるために、幾重にも繰り返されてきた歴史や物語には異性との肉体関係に翻弄されてしまう。

それでもまた、異性を求めてしまう……
それがセックスの底知れぬ魔力なのだろう。

ずいぶん前に、某有名なプロゴルファーがセックス依存症を告白したことがあった。
彼の気持ちはよくわかる。

お互いの肌と肌を合わせ、何もかも忘れてひたすら自身の欲望を満たすこと。

相手の持つ欲望に対する要求へ応えることが、欲情した人間同士の価値観や主義、趣向を共有できる行為。

ただひたすら快楽を貪欲に貪り続けたいとの願望を具現化する行為……
それが、セックスなのだから。

人が猿人から進化する過程において、セックスはクリエーションからレクリエーションへと進化を遂げたと思っている。

特に最近のセックスに対するドラスティックな価値観の変化は、目を見張るものがある。

性に対するモラルが下がった…
と言いきってしまえば、それまでだ。

しかし、性に対して素直になったと表現した方が、ふさわしいと思う。

動物としての本能かつ繁殖行為であるセックスを、男女の楽しくも甘美な楽しみへと人は昇華させてきた。

その人類にだけ許された特権を肉体と精神が続く限り、心ゆくまで余すことなく享受したい。

それがパートナー以外の異性を求める理由、セフレを求める理由なのではないだろうか。

デートの終焉。ホテルへと車を走らせる

もっと単純に、日ごろの憂さを忘却しようとする。
明日への心の糧として、異性を求め、セックスをする。

それで充分なのだ。

「……ねぇ、ねえってば」

「な、なに?」

「さっきからぼーっとして何か考えごと。」

「べっ、別に何も…」

「うそ、何か別のこと考えてたでしょ?」

「…実は、エッチなことを考えてた」

私はとっさに言い訳をした。

「なに、シたいの?」

「京子とは、いつでもシたいよ!」

これは嘘ではない。

「じゃ、どこかホテルへ行く?」

「うん、行きたい!」

素直に答える。

車をしばらく走らせると、一軒のホテルがポツンとあった。

そこに車を滑り込ませる。

第十一話に続く…

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